フォントじゃ出せない、命名書の話 - いのちのヨハク

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フォントじゃ出せない、命名書の話

書道をしていない方にとって、「字が上手い」という基準はとても曖昧なものだと思います。正直に言うと、これは書道を長くやってきた私自身がずっと感じてきたジレンマでもあります。書道の世界には、線の入り方や抜け方、字形の取り方、余白の使い方など、積み重ねてきた人にしか分からない判断基準がたくさんあります。つまり書の上手さは、実はとても分かりにくいということです。でも、それを知らなくて当たり前だし、知らないからこそダメだなんてこともありません。命名書を選ぶ多くの方は「書道が分かる人」ではなく、「我が子の名前を大切に残したい人」なのだから。

1.自己流ではなく、古典を土台にした字
私は、書には正直それなりに自信があります。ただ、それは「すごいでしょ?」と誇りたい自信ではなく、「ちゃんと積み上げてきた」という意味での自信です。私の字のベースは完全に古典です。書道家っぽい雰囲気だけで書く字ではなく、昔から受け継がれてきた形や線を何度も繰り返し学んできました。地味で、時間のかかる練習もたくさんしてきましたが、その積み重ねがあるからこそお手本がなくても色んな線を引くことができたり古典に倣った字形の取り方ができたりするのです。

2.古典は堅苦しいではなく、書の基礎の勉強
古典という言葉は、難しそう、堅そうという印象を持たれがちですが、私にとっては縛りではなく土台です。知識と技術があるからこそ崩しても崩れすぎない。自由に動かしても、どこか品が残る。命名書は長い時間を経て見返されるものだからこそ、流行や勢いに頼らない形を意識しています。何年経っても違和感の出にくい字を書くことを大切にしています。

3.線の始まりと終わりは丁寧に
線の運び方にも、少しこだわりがあります。線の始まり、途中の流れ、終わり方。その一つ一つが整っていると、字全体が自然と落ち着きます。最初は良く見えても、時間が経つほど粗が出てしまう字もあります。だから私は、今だけでなく、これから先も耐えられる線や見る人が見ればわかる線を書くことを意識しています。

4.強さの中に、やさしさを残す
私の書は、線が強いと言われることが多いです。墨もたっぷり使います。でも、強いだけの字にはしたくありません。威圧感や強さだけが前のめりにならないように、必ず余白を意識します。余白は何もない空間であり、黒の部分(線)を引き立たせる役割があります。詰め込みすぎないことややり過ぎないことで、見る人の気持ちも自然と落ち着く字になると考えています。

5.赤ちゃんのためだけの字ではない
命名書は赤ちゃんのためのものですが、赤ちゃんの時期だけを見るものではありません。成長して、ふと実家で目にしたとき、大人になってから見返したときにも違和感がないこと。それが私の目指す命名書です。可愛すぎず、賢すぎず、人生のどの段階でも受け止められる字でありたいと思っています。

6.書道が分からなくても、選んでいい
書道の上手さは分かりにくい世界です。だから私は、「すごい字を書きます」とは言いません。ただ、雰囲気や勢いだけの字ではなく、基礎とバランスの部分はすべて責任を持って仕上げています。書道が分からなくても大丈夫です。迷わずに任せてもらえるような字を書くことを大切にしています。

7.最後に
正直に言うと、私は商売が得意ではありません。上手に売ることも、派手にアピールすることも苦手です。でも、命名書に関してはたくさんの方の元に届けたいと思っています。人生の一番最初に贈られるものの一つだからこそ、良いものを手に取っていただきたいと思ってしまいます。任せていただいた方の期待にこたえられるように時間も手間も惜しまず、毎回真剣に向き合っています。
「書道は分からないけれど、この人なら任せてもいいかも」と思ってもらえたら、それで十分です。上手いかどうかを判断しなくていい。両親が一生懸命考えた名前を、生まれてきてくれることを楽しみに待っていた気持ちや生まれてきてくれてありがとうの気持ちを、私は形にするお手伝いをしたいと思っています。

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