手書き命名書の良さ - いのちのヨハク

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手書き命名書の良さ

お名前が芸術作品になるという特別さ
 手書きの筆文字には、印刷文字やデジタルフォントにはない独特の存在感があります。まず大きな魅力として挙げられるのは、「文字そのものが作品として成立する」という点です。筆という道具は、筆圧のかけ方・角度・運筆のスピードなど、わずかな違いが線の太さやかすれに直結します。そのため、書き手の心のゆとりや呼吸のリズムまでもが線に表れます。これは決して機械的な文字では再現できない、筆文字特有の表現です。例えば同じ「命」という文字でも、墨をたっぷりつけて露鋒(穂先を露わにして書く書き方)でスピードをつけて力強く書けばエネルギッシュな印象が生まれ、蔵鋒(穂先を線の中に隠して書く書き方)でゆっくりと柔らかく書けば、温かみのある雰囲気に変わります。頭で考え、心で感じながら人が手を動かし、真心を込めて書いたからこそ生まれる価値が手書きの筆文字にはあります。筆文字は単なる情報を伝えるツールではなく、完成や想いを映し出すアートとして、もっとたくさんの方に届いてほしいなと願っています。

書き手の心の状態が線に映り込む
 筆文字のもう一つの魅力は、「書き手の心の状態が正直に出る」という点だと思います。穂先は、ペンや鉛筆よりも書き手の繊細な動きを拾いやすいと感じています。心に余裕があるときには呼吸も深く、線はのびやかになります。反対に焦りや緊張があると呼吸は知らず知らずのうちに浅くなり、息が短くなり、見る人に感動は与えられません。筆跡診断と言って、書いた文字で性格を診断するものがありますが、文字は書き手の内面を映すとも言われています。よく耳にする言葉で言うと「書は心画なり」唐の四大家である顔真卿が書はその人の心の表現であるという信念を持ち、彼自身もこの言葉通り、忠誠心や剛直な性格が力強くどっしりとした書に如実に表れていました。
 25年間書を続けてきましたが、「書は心画なり」は本当に実感している言葉です。心に余裕がないときに書いても絶対に本当に良いものは書けません。ギリギリの精神状態で書くからこその良いものもあるのでは?と思った時期もありましたが、そんな自分が書いていて楽しくない余裕もないアート、良いものなはずがありませんでした。今は自分のために書くことで、届いた人の心に響くものになると感じています。なので私のモットーとして無理して書かない。これに尽きます(笑)作品を受け取ってくれた人もまた「書いた瞬間の空気」が伝わるかもしれないから、丁寧に書いて見る人の心をそっと温かく包んでくれるような作品を書きたいと思っています。こういった心理的な要素こそが、書が古来から愛され続ける理由のひとつではないかと感じています。

日本文化の美意識が息づく表現
 筆文字には、日本文化に根付いた「間(ま)」や「余白の美」「静と動」などの美意識が自然と取り込まれています。運筆する中で生まれる余白のバランスは、作品全体の印象を左右する大切な要素です。こんなに単純なことではありませんが、簡単に言うと余白が広ければ静けさが生まれ、線が大胆に配置されていれば生命力が強く伝わってきます。これは日本特有の控え目である性格や京都の枯山水、ししおどしなどといった、静けさの中に「ぽつん」と音が入ることで静けさをより強調させ、風情や情緒を楽しむ風潮と深い関りがあり、やはり書も列記とした日本の伝統文化なんだな、改めて感じます。
 また運筆には「始筆・送筆・収筆」と言って一本の線にも明確な流れがあり、これらが基本でもあり、文字を書く上で結構重要なポイントだったりします。この流れは茶道や武道に通じる「所作の美しさ」とも繋がっており、筆文字を鑑賞することは日本文化の精神性に触れることでもあります。

贈り物としての価値が高い理由
 筆文字は贈り物としても高い価値があるように思います。手書きの文字には、書き手がその人のためだけに心を込めたという特別な意味が込められています。特に命名書・メッセージ・作品タイトルなど、人生の節目に関わる場面では、筆文字は「想いを形にした贈り物」として大切に保管されることが多いです。同じ文字でも一つとして同じものがないため、「この瞬間に書かれた世界でひとつだけ」の価値が生まれます。また、部屋に飾ることで、空間の雰囲気が柔らかくなったり、凛とした印象になったりと、インテリアとしても力を発揮してくれるはずです。印刷文字では決して得られない温度と存在感が、筆文字には確かにあります。

デジタル時代だからこそ選んでほしい「手書きの力」
 近年はスマートフォンやパソコンで文字を書くことが主流になり、手書きをする機会は大幅に減っています。しかし、だからこそ筆文字を選んでほしいなと強く思うのです。均一に整えられたフォントがあふれる現代において、不揃いで温かみのある筆文字は、見る人の心を癒してくれる存在です。手書きの筆文字とはデジタル化が進むほど、忘れてはいけない日本人の心のようなものだと思います。これからの時代こそ、「温度のあるコミュニケーション」を沢山の方に届けていきたいと思います。

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